相談を受けたり、トラブルを防ぐために準備したりする仕事は、対応件数に表れにくいものです。得意なことが違う人同士で協力するチームなら、そうした仕事も評価に含めたいです。私が「パウ・パトロール型チーム」と呼んでいるチームを例に、個人の担当とチームへの貢献を一緒に確認する評価案を考えてみます。
この記事のポイント
チーム共通の評価軸を決めたうえで、役割ごとに期待することを具体的にします。本人が何をし、誰の仕事や判断に役立ったかは、実際の記録を見ながら確認します。
評価のたたき台にする四つの観点
まずは、次のような配分を考えてみました。効果が検証された評価制度や数値ではなく、話し合いを始めるための案です。メンバーは担当領域、リーダーは連携やチームの成果を重めにするなど、役割に合わせて調整します。何を期待するかは、評価期間が始まる前に本人と確認しておきます。
| 評価軸 | 確認する内容 | 配分例 |
|---|---|---|
| チーム成果への貢献 | 共通目標に、本人の行動がどうつながったか | 25% |
| 担当領域での成果 | 専門性と役割に応じた成果を出したか | 30% |
| 連携・支援 | 他者が仕事を進められるよう支えたか | 25% |
| 改善・成長 | 仕組み、知識共有、能力の獲得を進めたか | 20% |
チームの成果に本人がどう関わったかを確認する
チームが目標を達成したかだけでは、一人ひとりが何をしたのかは分かりません。重大なリスクを早く見つけた、曖昧だった仕様を整理した、他職種との認識を合わせた、といった具体的な仕事を確認します。
たとえば、リリース前の確認が進んだ背景に、前提条件を整理した人や環境を準備した人がいるかもしれません。結果を説明するときに、その過程も含めて記録します。問題が起きなかったことだけから、予防の効果を断定しないようにします。
役割ごとに期待する成果を決める
役割が違えば、確認したい成果も違います。すべてを同じ件数で比べるために換算するより、その役割で何を期待していたかを具体的にします。件数を参考にする場合も、仕事の難易度や担当範囲を一緒に確認します。
- テスト設計:リスクに対する観点の妥当性と、レビューで確認できる根拠
- 探索的テスト:仮説の立て方、発見した問題、調査結果の共有
- 自動化:検知したい範囲、保守性、実行時間、日々の運用への定着
- 業務改善:作業負荷の変化、標準化、引き継ぎやすさ
- リーダー:優先順位、役割分担、意思決定の支援
相談対応や知識共有も評価に含める
相談対応、レビュー、必要な人への橋渡し、情報整理は、ほかの人の成果を支えます。こうした時間を使った人が、担当件数だけでは不利にならないようにしたいです。
手順や判断基準を文書にした、サブ担当を育てた、振り返りをもとにチェックリストを直した、といった仕事も記録します。本人が詳しくなったことに加え、ほかの人もその知識を使えるようにしたことを評価します。
件数を増やすことが目的になっていないか
件数の順位や目立つ障害対応ばかりを評価すると、相談対応や予防の仕事を引き受けにくくなるかもしれません。ただ、支援した回数を競うようにしても、それが何に役立ったのかは分かりません。
何をしたか、その根拠と仕事への影響を短く残しておき、評価の面談などで確認します。うまくいかなかった試みも、試した内容、分かったこと、次に変えることまで見ます。評価を通じて、チームで協力できた場面と、うまくいかなかった場面を振り返れるとよいと思います。